――――――…誰かの為に戦う者は、時に自分の意志で戦う者より強い力を発揮する。
自ら生贄に志願してきた「彼」を見ているうちに、俺はそのことを知った。
「…何を見ているのですか、クロティルダ」
「…リューイ…」
生贄に選んだ人間達を見下ろしている俺のもとに、一人の仲間がやって来た。
「…生贄の彼らを」
「…そうですか」
リューイは、表情を曇らせた。
彼は他の仲間達と違って、人間に対して寛容な考えを持っている。
人間を憐れむ仲間は、俺と、このリューイ…そして、俺達の主くらいである。
「また…新たに生贄が増えた」
その姿を見ていると、俺は心が痛む。
…心が痛むなどと、本当は考えてはいけないのだろう。
しかしリューイだけは、俺の気持ちを察したように頷いた。
…そして。
「…この者は、確か…」
地上を見下ろして、とある生贄の一人に視線を移した。
「自ら生贄を志願したという…?」
「…あぁ」
最初、生贄として賽が選んだのは、彼の妹だった。
しかし彼は、自ら生贄に志願した。
その強い意志に応える形で、俺は彼を生贄に選んだ。
その判断が正しかったのか、間違っていたのかは分からない。
それでも、彼は未だに、その選択を後悔していない。
それどころか、俺が見るに。
彼は生贄の中で一番、よく笑う。
皆が悲壮な顔つきをしていても、彼だけはいつも、妹に優しく微笑みかけるのだ。
誰かの為に戦うことが、何よりも自分の力になる。
ある意味で彼は、一番生贄に相応しい人物だった、と言えるのかもしれない。
「何故そうまでして…。妹の為に命を尽くせるのか…」
リューイの独り言にも似た問いかけに、俺は答えた。
「あの娘は、彼の希望だからだ」
空音いそら。そして、空音のぞみ。
この二人は、互いがなくてはならない存在なのだ。
…それこそ、失っては一秒たりとも生きていけないほどに。
自ら生贄に志願してきた「彼」を見ているうちに、俺はそのことを知った。
「…何を見ているのですか、クロティルダ」
「…リューイ…」
生贄に選んだ人間達を見下ろしている俺のもとに、一人の仲間がやって来た。
「…生贄の彼らを」
「…そうですか」
リューイは、表情を曇らせた。
彼は他の仲間達と違って、人間に対して寛容な考えを持っている。
人間を憐れむ仲間は、俺と、このリューイ…そして、俺達の主くらいである。
「また…新たに生贄が増えた」
その姿を見ていると、俺は心が痛む。
…心が痛むなどと、本当は考えてはいけないのだろう。
しかしリューイだけは、俺の気持ちを察したように頷いた。
…そして。
「…この者は、確か…」
地上を見下ろして、とある生贄の一人に視線を移した。
「自ら生贄を志願したという…?」
「…あぁ」
最初、生贄として賽が選んだのは、彼の妹だった。
しかし彼は、自ら生贄に志願した。
その強い意志に応える形で、俺は彼を生贄に選んだ。
その判断が正しかったのか、間違っていたのかは分からない。
それでも、彼は未だに、その選択を後悔していない。
それどころか、俺が見るに。
彼は生贄の中で一番、よく笑う。
皆が悲壮な顔つきをしていても、彼だけはいつも、妹に優しく微笑みかけるのだ。
誰かの為に戦うことが、何よりも自分の力になる。
ある意味で彼は、一番生贄に相応しい人物だった、と言えるのかもしれない。
「何故そうまでして…。妹の為に命を尽くせるのか…」
リューイの独り言にも似た問いかけに、俺は答えた。
「あの娘は、彼の希望だからだ」
空音いそら。そして、空音のぞみ。
この二人は、互いがなくてはならない存在なのだ。
…それこそ、失っては一秒たりとも生きていけないほどに。


