神に選ばれなかった者達 前編

俺は、自分が思いついた作戦の概要を説明した。

…作戦、とは言うが。こんな力押しの作戦は作戦とも言えない。

それでも、仲間達は。

「よし、分かった。やってみよう」

即決だった。

…せめて、もう少し考えてみなくて良いのか?

「…良い、のか?」

自分で作戦立案をしておきながら、俺は自信がなかった。

生まれてこの方、自分に自信を持てたことなんて一度もなかった。

むしろ、「お前の考えた作戦なんて信用ならないなら、実行しない」と言われた方が安心するくらいだ。

我ながら重症だな。

「良いに決まってるだろ?駄目なのか?」

「いや…。駄目ではないが…」

でも…そんなに素直に受け入れて良いのかと。

「偉そうに提案はしたが、上手く行く保証なんてないし…。それに、俺は一度逃げ出した身で…。そんな者が立てた作戦なんて…」

「…なんだ。そんなこと気にしてたのかよ?」

え?

「アホだな、あんたさん。上手く行く保証がないことくらい、こっちだってハナから分かってるっての」

「逃げ出したなんて…。そんなこと気にしてませんよ。私だって、お兄ちゃんに頼るばかりで、逃げてばかりだし…」

「のぞみは逃げてなんかいないよ。…それに、君はちゃんとこうして、戻ってきたじゃないか」

…それは。

「一人じゃ戻れなかった…。俺が戻ってこられたのは…みらくが、いたから…」

「誰と一緒でも良いよ。ちゃんと戻ってきたんだから。お前は立派だ」

と、佐乱李優が言った。

…立派だ、なんて。

生まれて初めて言われたかもしれない。

「萌音は別に、失敗することなんてどうでも良い」

久留衣萌音が、きっぱりと言った。

どうでも…良くはないだろう。さすがに…。

…しかし。

「100回失敗しても、1000回失敗しても良い。失敗することよりも、失敗を恐れて何も出来なくなることの方が遥かに怖い」

「…そうか…」

良いことを言うな、お前は。

俺には理解し難い哲学だ。

でも、それがここの掟、生贄に選ばれた者のルールなのだろう。 

何度死んでも、何度殺されても、また立ち上がって戦う、不屈の精神が。

「失敗したとしても、学びと経験は得られるはずだ。それを次に活かせば良い。だろ?」

「…そうだな」

分かった。

それなら、俺も覚悟を決めるよ。

「今夜はもう遅い。実行は明日の夜だ」

佐乱李優がそう言い、一同が頷いた。