神に選ばれなかった者達 前編

「…みらく。別にお前の責任ではないぞ」

「…うん…」

励ましたつもりなのだが、表情が晴れない。

「あ、ごめん。いや、そういう意味じゃないんだ」

みらくが落ち込んでいることに気づいて、李優がフォローに回る。

「どんな武器でも使いようだ。今回は有効活用するのが難しいってだけで…」

「そうそう。手榴弾なら充分強いよ。私の武器に比べれば…」

「のぞみは全然弱くないけどな」

「扱い方が難しいって点で言えば、ふぁにも相当だしな」

李優、空音のぞみ、空音いそら、ふぁにがそれぞれ励ました。

…いや、いそらが励ましてるのは妹だが。

相変わらず、皆優しいな。

「…うん…。…ありがと」

皆の励ましを受けて、みらくも少し、元気を出したようだ。

…それは良いことだと思うのだが。

どうにも、皆…。

…手榴弾を過小評価していないか?

俺は、膝の上のウサギと見つめ合いながら、しばし考えた。

「…?どうした、あんたさん。ウサギとにらめっこして」

そんな俺を、ふぁにが不思議そうに眺めていた。

「…いや…。…別に…」

「あ、そう…。まぁ悠長やってる場合じゃないからな。ここでウサギと仲良くしてても、ゾンビが減る訳じゃなし」

むしろ、俺とみらくが来てしまったことによって、ウサギ小屋の密度が上がり。

ウサギに多大な迷惑をかけ、更に一箇所に集まったことにより、ゾンビにも狙われやすくなっている。

ここも、もうそれほど安全ではないだろう。

「そうだな…。そろそろ逃げ回るばかりじゃなくて、新しい作戦を考えないと…」

「さ、作戦って…。本気で、あんなバケモノと戦うつもりなの…?」

「戦わなきゃ、いずれこっちが殺されるよ」

びくっ、と怯えるみらくに、久留衣萌音が平然と答えた。

「戦いたくないなら、隠れてれば良いよ。萌音は黙ってやられるつもりはないから、戦うだけ」

本当に肝が据わってるな。

一体これまで、何匹、何体のバケモノを殺してきたら、そんな風に言えるのか。

「響也君。君はどうするの?」

その久留衣萌音が、俺に質問した。

「…何が?」

「ここでウサギと見つめ合ってる?それとも、萌音達と一緒に戦う?」

…そうだな。

ウサギと戯れるのも悪くないが。

「作戦はあるのか?新しい作戦…」

「ううん、ない。もう考えるの面倒だから、一匹ずつ殺していこうかな」

「ちょ…!さすがに無理だろ、それは…」

「危ないですよ、萌音さん…!」

「でも、他にどうすれば良いの?」

萌音の強硬策に、李優とのぞみが止めようとしたが。

完全に、考えることが面倒になってきてるな、萌音。

どれほど考えても有効な手段が思いつかないなら、それも良いだろう。

だが…思考停止するには、まだ早いのではないだろうか。

「…手榴弾を使えないか?」

俺は、そう提案した。