神に選ばれなかった者達 前編

すると。

「あの…そちらの方は?」

ウサギを抱いて、小屋の中に蹲っていた空音のぞみが。

みらくの方を見ながら、そう尋ねた。

みらくは、俺の後ろに隠れるように立っていた。

…何故俺を盾にする?

「見ない顔だね。…新入り?」

「あぁ…新入りだ。俺達が落とし穴を掘ったり、調理実習室を燃やしている間も、屋上に一人で隠れていたらしい」

「そうだったんだ…。…一人で大変だったね」

「う、うん…」

久留衣萌音に労われ、みらくは戸惑いながら頷いた。

「しばらく二人で屋上に隠れていたんだが…。このまま隠れていても埒が明かないからと、降りてきた次第だ」

「そうか…。何にせよ、戻ってきてくれて何よりだ。それに、新しい仲間も一緒にな」

「わ…。私は、響也くんみたいに…役には立たないと思うけど…」

謙遜するな、みらく。

誰しも始めはそんなもの、と言うか…。

俺も、まだこの夢の中に来てから一度も役に立ってないから、お互い様だな。

「そんなところに立ちっぱなしもなんだから、中に入ってくれ」

「入れるか?まだ…」

「詰め寄せて、もう少しスペースを空けよう。…のぞみ、お兄ちゃんの膝の上に乗って良いよ」

「嫌に決まってるでしょ。ウサギを抱っこすれば、もう少し入れるわ」

空音のぞみが、更にウサギをもう何匹か、膝の上に乗せてくれ。

各メンバーが、少しずつ奥に詰めてくれたことにより。

俺とみらくも、何とかウサギ小屋に腰を落ち着けることが出来た。

ギッチギチのウサギ小屋。

人間はともかくとして、ウサギに申し訳ないな。

「この人間共、邪魔」って思ってるだろうな。

ここはウサギが暮らす小屋であって、人間の避難する場所ではない。

さすがに、ウサギ小屋の中は獣臭いな。

ゾンビから逃げられるのなら、文句は言えないが。

まさか、人生でウサギ小屋の中に座る日が来るとはな…。

まぁ、ここは夢の中なんだが…。

「…それで?ギッチギチの状況で済まないが、あんた、名前は?高校生か?」

佐乱李優が、みらくに尋ねた。

「う、うん、高校生…。名前は、夜蛾みらく…」

「みらくか…。宜しくな。ここのルールについては、響也に聞いたか?」

「うん…。ある程度のことは」

「そうか…。…思うところは色々あるだろうが、何とか乗り越えていくしかない。…出来そうか?」

「…正直、まだ分からない…。…けど」

…けど?

「響也くんが、一緒に行こうって言ってくれたから…。だから、一緒に頑張ろうって思ったの」

「…そうか」

それじゃ、俺も一緒に頑張ってみようか。