神に選ばれなかった者達 前編

それから俺とみらくは、この学校の敷地内の何処かに隠れているであろう、『処刑場』の仲間達を探した。

てっきり、部室棟に隠れているかと思ったのだが。

「…いないな…」

「えっ…。…いないの?」

彼らはもう、ここにはいなくなっていた。

ある程度予測していたことだ。

一箇所に長くいると、ゾンビ達が集まってきてしまう。

ならば、遊牧民のように、拠点を転々とした方が安全だ。

きっと、今は別の場所に移転しているのだろう。

「どうしよう…。校舎の中にいるのかな…?」

「…いや、もう少し、外を探してみよう」

俺の予想では、校舎の中にはいないと思う。

ゾンビが集まる校舎の中は、危険だからだ。
 
多分、校舎の外にいるはずだ。

…この学校の地理を知っていて、本当に良かった。

何処を探せば良いか、大体検討はつく。

あちこち探して、見つけたのは。







「…あれ?あんたさん、久し振りだな」

「響也…!お前…」

仲間達は、檻の中にいた。

檻の中で、じっとしていた。

非常に意外な場所にいたので、危うく見逃すところだった。

だが、そのお陰でゾンビの目から隠れられているのだろう。

「え、き、君達…。…何してるの…?」

これには、みらくもびっくり。

仲間達は、狭苦しい檻の中で隠れていた。

…ウサギと共に。

そう、ここはウサギ小屋なのである。

ウサギ小屋の中で、ウサギと一緒に息を潜めていた。

成程、ここならゾンビの目も誤魔化せるかもしれない。

「仕方ないだろ…。あの後、しばらくは部室棟に集まってたんだが…」

「ゾンビがうろうろするようになったから、隠れ場所を変えることにしたんだ」

で、辿り着いたのがウサギ小屋だったのか。

「それより響也…。お前、アレからずっと…」

「…あぁ」

言われると思ってた。

アレ、とは…調理実習室の放火作戦のことだ。

「掲示板にも全然書き込みがないから…。…心配したんだぞ」

「…済まない。それは、俺の心の弱さだ」

度重なる失敗に耐えられず、心が折れてしまった俺の弱さ。

今だって本当は、完全に立ち直った訳ではない。

「でも…戻ってきてくれて良かった。お帰り、響也」

李優が、安心したような笑顔で言った。

「…お帰りっつっても、ここウサギ小屋なんだけどな」

「うぐっ…。ふぁに…それを言うな」

いや、別に良いぞ。

例えウサギ小屋でも、久し振りに仲間達の顔を見られて良かった。
 
こんな良い方はおかしいかもしれないが…。顔を見られて、安心したよ。