神に選ばれなかった者達 前編

「でも、どうして…?響也くん、良い人なのに…。…何でいじめられてるの?」

「それを俺に聞かれても…。いじめっ子の方に聞いてくれないか」

「あ、そ、そうか…」

聞いたら答えてくれるんだろうか。

「ウザいから」、あるいは「キモいから」とか言われるんだろうな。

悪口が抽象的過ぎて、俺には理解出来ない。

「俺には分からないが、彼女達にもきっと、俺に嫌がらせをしなければならない理由があるんだろう」

「…恨んでないの?相手の子…」

「?別に…。どうせ三年間の付き合いだしな。机がなくなったなら探しに行けば良いし、トカゲの死骸があるなら埋めに行けば良いし、花瓶が机の上に置いてあるなら、花を活ければ良いだけだ」

「…」

そう思えば、別に辛いことは何もない。

好きにしてくれれば良い。

「…強いね、響也くんは」

「とてもそうは思えないけどな」

「ううん…。君は私より、遥かに強いよ…。私にも…そんな強さがあれば…」

「…」

「私一人じゃ…どうすることも…」

分けてあげられれば良いんだけどな。

勇気と強さを分けるどころか、自分一人分でも枯渇している。

…ならば、どうするか。

「…一人で、無理なら」

「…え?」

「一緒に行こうか」

俺に勇気なんてない。戦う意志もない。

どうするのが正解かなんて分からない。

…だけど、このまま逃げ続けて何かが解決するかと言ったら、そんなことは有り得ない。

解決する為には、動き出さなければならない。

そのきっかけが今、目の前に転がっているのなら。

拾ってみようと思っただけだ。