「…どうしても駄目なのか」

「くどいぞ、クロティルダ」

俺の仲間達は、険しい顔でこちらを睨んだ。

「愚かにも人類は罪を犯した。決して人類が入ってはならない領域に踏み入った。その罰は与えなければならない」

「だがそれは…彼らが犯した罪ではない」

「関係ない。先祖が犯した罪を、末代の彼らが背負うのだ。罪を犯した人類に相応しい」

…そんな。

罪は、犯した本人が償うのが当然だろうに。

…しかし、犯した本人達はもう、この世にはいない。

罪を償うべき者は、この世の何処にもいないのだ。

だからこそ、まったく無関係の人間達が、代わりにその罪を償わなければならない。

誰かがやらなければならない。誰かが。

罪にまみれた怪物達を、人間達が自ら作り出した叡智のバケモノを、葬り去る為に。

「さぁ、賽を振れクロティルダ。罪を償う生贄を選ぶのだ。それがお前の役目だ」

「…分かった」

最早、他に選択肢はなかった。

俺も…俺に選ばれることになる生贄達も。

俺は、静かに最初の賽を振った。

「…済まない」





どうか願わくば、生贄となる彼らに僅かでも、主の救いがありますように。