神に選ばれなかった者達 前編

ぽかーん、とこちらを見るみらく。

「私、何か変なこと言った?」と言わんばかり。

…言ったな。

「俺が人気者だと思ったら、それは大きな間違いだぞ」

「え、何で?」

何でって言われても…。

「響也くん、かっこ良いのに?女の子からモテモテじゃないの?」

「…よく笑われはするが、モテたことはないな…」

雨野リリカに一度、交際を申し込まれただけだな。

それに、それ以降は…。

「むしろ、クラスメイトからはいつも嫌がらせを受けているくらいだ」

「い…嫌がらせ?って、何?」

それは…。

「学校に来たら、自分の机と椅子がなくなってたり…」

「えっ…」

「机の中に、トカゲの死骸が入ってたり…」

「えぇっ…」

「ついでに、ゴミや泥なんかが詰め込まれてたこともあったな」

「えぇぇっ…」

「…あ、でも机の上に花瓶が置かれていたことがあったな。あれは俺に対する労いのつもりだったんだろうか?」

「…それも嫌がらせだよ…。テッパンのやつだよ…」

「そうなのか」

それは気づかなくて悪いことをしたな。

…って、悪いことをしたのはクラスメイトの方か。

「ってことは…響也くんは…学校で、いじめられてるの…?」

「…そういうことになるのかもしれないな」

何故なのかは分からないが。

「…ちなみに、みらくがゾンビを倒す時に使った、屋上に置かれていた机と椅子」

「へ?」

「あれも元々は俺が昼間使ってるものだったんだ。嫌がらせの一環で、クラスメイトに捨てられただけで」

「…」

そんなの知らなかった、と言わんばかりの顔。

教えてなかったからな。無理もない。

「嘘…。じゃあ私、響也くんの椅子でゾンビ、殺しちゃったの…?」

「あぁ、そうだな」

「そ…!そうとも知らず、ごめん…」

「別に気にしてないぞ」

ここはあくまで、夢の世界だからな。

むしろ、俺の椅子がみらくを救うことになったんだから、それは喜ぶべきだろう。

「みらくの武器になるなら、ずっとここに置いておきたかったんだが…。さすがに、あのままずっと床で授業を受ける訳にもいかず…」

「ゆっ…床で授業受けてたの…!?」

「学校に来たら、机も椅子もなかったから…仕方なく…」

「…タフだね、響也くん…」

え、そうか?

ないものはないんだから、仕方ないだろう。