神に選ばれなかった者達 前編

「そんな…。もう嫌、もう嫌だよ…」

頭を押さえて、みらくはその場に蹲った。

…。

「俺達は…一度…離れた方が良いかもしれない。人の気配が消えれば、ゾンビ共にも気づかれることは…」

「…それってどういうこと?私、また一人ぼっちになるってこと?」

え?

「嫌だよ…。一人ぼっちはもう嫌…」

「いや…でも、ここにいたらまた襲われるかも…」

「例え襲われたとしたって…!一人はもう嫌なんだよ。誰かと一緒に…響也くんと一緒に居たいよ…」

みらくは、俺の手を掴んだ。

ゾンビの粘液まみれの手を。

「お願い…。もう、私を一人にしないで…」

「…。…分かった」

何が「分かった」なのか、自分でも分かっていなかった。

何でこんなことを了承したのかも。

ただ、一人にしないでと言われた。

だから一人にしない。…それだけの話だ。

「一緒に居てくれと言うなら、一緒に居る…。…だから、泣かないでくれ」

「…うん…」

みらくは、小さく頷いた。