神に選ばれなかった者達 前編

「…という経緯で、俺達は毎晩、ゾンビ退治をしている」

「…そうなんだ…。じゃあ、昨日の焦げ臭い匂いも…」

「あれは火事だ。火を起こせば、ゾンビを焼き殺せるかと思ったんだが…」

残念ながら、上手く行かなかった。

いや…上手く行かなくて良かったのかもな。

大炎上して、屋上まで燃えてしまったら…一緒に、夜蛾みらくまで焼き殺してしまうところだった。

「新しい作戦を立てる予定だったんだが…。今のところは、どうなってるのか分からない」

「そっか…。…その仲間達は何処にいるの?」

「さぁ…。多分、部室棟の方に集まってると思う」

俺が来てないことに、憤慨してるんじゃないのか。

あの意気地なし、って。

そして勇敢な彼らはきっと、俺抜きでも、新しい作戦を考えていることだろう。

…逃げることしか考えてない俺とは、大違いだ。

「…会いたいなら、行ってみると良い。他の仲間達に…」

「…君は?一緒に行かないの?」

「俺は行かない…」

意気地なしだからな。…俺は。

「どうして?仲間のこと、嫌いなの?」

「別に嫌いな訳じゃない…」

むしろ、俺みたいな人間にも良くしてくれて。

掲示板でも、俺を励ましてくれて…本当に良い人達だと思う。

でも、だからこそ自分が情けないのだ。

「ただ…合わせる顔がないだけだ。俺は、彼らほど強くないから…」

「…」

「たった一度や二度、失敗しただけで…心が折れてしまった。もう立ち向かう気になれない」

今に至ってもそうだ。

前を向こう、もう一回頑張ろう…そう思えない。

情けないと思うよ。自分でも。

「俺は弱い人間だ…。…だから、俺とはいない方が良い。案内するから、お前は部室棟に…他の仲間達のところに…」

「…君が行かないなら、私も行かないよ」

…えっ。

「どういうことだ…?」

「どういうことだ、も何もないよ…。私だって、戦う勇気なんてないもの。君の話を聞いても、立ち向かおうなんて思えない」

「…」

「君がここにいるなら、私も一緒にいて良い?…私の、話し相手になってよ」

「…。…分かった」

一人になりたい、と思って、わざわざ屋上までやって来たのに。

俺は、夜蛾みらくを突っぱねることが出来なかった。