神に選ばれなかった者達 前編

翌朝。

いつも通りの朝がやって来た。

…いや、いつも通り、ではないか。

ゾンビに食い殺されたせいで、視界の端にノイズが走った。

…あぁ、くそ。

夢の中でバケモノに殺されると、現実が「侵食」される。

そういうルールなんだったっけ。

枕元のスマホが、ちかちかと点滅していた。

勝手に、『処刑場』の掲示板が開いていた。

『ポンコツスナイパー∶響也。

ポンコツスナイパー∶大丈夫か?』

妹尾ふぁにが、俺を心配して掲示板で声をかけてきてくれた。

更に。

『天使ちゃん∶昨夜のことは残念だったが。

天使ちゃん∶また新しい作戦を考えよう。

シスコン兄の妹∶私も、もう少し本を読み込んで調べてみます』

佐乱李優と空音のぞみも、続けて掲示板にそう書き込んだ。

…どうやら、励ましの言葉を並べて、気落ちさせないように気遣ってくれているらしいが。

とても、返事をする気にはなれなかった。

彼らの気遣いは有り難かった。それは素直に感謝している。

でも、今は誰とも話したくなかった。

俺は掲示板に返信を書き込むことはせず。

いつも通り、何事もなかったように、制服に着替えて学校に向かった。