神に選ばれなかった者達 前編

さて、一夜が明け。

迎えた、運命の夜。






集まったふぁに達は、昨日のように回り道をして、家庭科室に集結した。

やるべきことは、もう決まっている。

ふぁに達は、昨日見つけたみりんやら料理酒やらを、ドボドボと床にぶち撒けた。

段々と、黙々と、調味料や油の容器を逆さまにして、床に撒き散らすその姿は。

多分、傍目から見ると相当異様な光景だったと思う。

これ、夢の中だから許されてるんであって、現実だったら有り得ないからな。

こんなところ目撃されようものなら、「お前ら何やってるんだ!」ってめちゃくちゃ怒られそう。

こっちも必死なんだよ。

油と調味料を、全部撒き終わると。

今度はティッシュペーパーやクッキングペーパーなどの、燃えやすい紙類を床に撒き散らした。

ありったけの紙類を撒き終わると、火を燃やす為の空気がよく入るよう、全ての窓を開けた。

「…よし。これで準備完了だな」

「うん」

あとはゾンビ共をこの部屋に呼び込み、火をつけるだけだ。

「俺が行ってくる」

李優くんが、窓に足をかけた。

「僕も手伝うよ」

空音兄も。

「お兄ちゃん…!お兄ちゃんが行くなら、私も…」

兄が行くならと、空音妹も囮に志願しようとしたが…。

「駄目だ。のぞみはここで待ってるんだ」

…言うと思ったよ。シスコンお兄ちゃん。

「でも…!」

「良いから。大丈夫、大きな音を立てて誘き寄せるだけだ。すぐ戻ってくるから」

「…お兄ちゃん…」

「お願いだよ」

空音兄の真摯な眼差しを受け、空音妹は渋々ながら頷いた。

「…分かった。でも…死なないでね。無事に帰ってきて」

「うん。約束するよ」

そう言って、妹を安心させる為に微笑み。

空音兄は、鉄パイプを担いで、窓から外に出ていった。

…さぁ、ここからが正念場だ。