神に選ばれなかった者達 前編

アルコール入りの本みりんと、料理酒が一本ずつ。

それに、サラダ油が二本。

家庭科室を家探しして見つかった戦果は、これだけである。

ついでに…。

「…ごま油とオリーブオイルも、小さい瓶入りのものがあったけど…」

「…ごま油って、燃えるの?」

…分からん。やったことないし。

でも、この際燃えそうなものは何でも使おう。

「油って書いてあるんだから、一応加えとけば良いんじゃね?」

ないよりはマシだろ。…多分。

「じゃあ、早速これらを床に撒いて…」

「…いや、決行は明日にしよう」

と、李優くんが言った。

「そろそろ夜が明ける。だから、やるなら明日…あ、いや。今夜、か」

「…分かった」

燃えそうなものを探しているうちに、もう夜が明けそうな時刻になっている。

校舎放火作戦の決行は、今夜ということになった。

…果たして、上手く行くのだろうか。

「今度こそ、成功すると良いですね」

「大丈夫だ。のぞみが考えた作戦なんだから、きっと成功するよ」

「少なくとも、落とし穴作戦よりは希望が持てそうだな」

仲間達は、楽観的な意見を口にした。

作戦の腰を折るのが嫌だったから、言わなかったけど。

ふぁには、実はそれほど期待していなかった。

だって、何事も上手く行かないのが現実ってものだろ?

ここは夢の中なんだから、尚更そう。

本当は皆も分かってるんだ。そう簡単に上手くは行かないって。

だけど常に悲観的だと希望を失ってしまうから、敢えて楽観的な意見を口にしているだけだ。

万が一にでも、成功すればそれで良い。

ふぁには、その程度に考えていた。

期待して裏切られたら、それほど辛いことってないだろ?