神に選ばれなかった者達 前編

最初は、クラスメイトの鬱憤晴らしだった。

今回の件で叱られたことにより、クラスメイト達はそれぞれのゲーム機とか、漫画とか、月々のお小遣いを没収された。

クリスマスプレゼント無し、とか。誕生日のお祝い無し、とかいう罰を与えられたクラスメイトもいたそうだ。

ほたるに買ってもらったゲーム機もソフトも、当然全部没収。

リサイクルショップに売られてしまった子もいたらしい。

当然の報いだけどな。

しかし、ゲームや漫画といった娯楽を取り上げられたクラスメイト達は、ほたるを攻撃することで、その鬱憤を晴らしたのである。

あんなに仲良くしていたのに。

お金がなくなった途端、もうお前には用がないと言わんばかり。

そこで初めてほたるは、自分達の関係が、ただ何枚かのお札によって繋がれていただけのものだったと知ったのだ。

なんとも儚い関係だこと。

まさか、本当に金の切れ目が縁の切れ目になるとは。

今回の事件を起こす前までも、ほたるはクラスのはみ出し者だった。

ふぁに以外、一人の友達もいなかったけども。

それでも、いじめられてはいなかった。

それなのに事件後、ほたるはクラスのはみ出し者から、クラスの嫌われ者になってしまった。

いじめと言っても、小学生のいじめなんてたかが知れているだろう…。

…と、思った人がいたら、それは大間違いだ。

小学生でも、いじめはいじめ。

むしろ、無邪気な小学生だからこそ、結構残酷なことをするのである。

最初の頃ほたるをいじめていたのは、事件のせいで親に怒られたクラスメイト達だけだった。

だけど…段々と、元々無関係だったクラスメイトまで、いじめに加わるようになった。

いずれにしても、いじめはエスカレートする一方だった。

元々ほたるは、事件が起きる前から、根暗で気が弱くて…頭も悪ければスポーツも出来ない、良いとこなしの陰キャだった。

いじめられる素質、素養は充分あった。

言い方は残酷だけどな。

それに、ほたるに対するいじめを止める者もまた、誰もいなかった。

ほたるのパパとママは、最早ほたるの味方ではなかった。

学校の先生もそうだ。

ほたるのパパから、ほたるには厳しくしてくれと頼まれている先生達は、如何なる時でもほたるを庇わなかった。

ほたるがいじめられているのを目撃しても、そのまま見なかったことにする始末。

厳しく接するのと、いじめを無視するのは、話が違うと思うけど。

しかし、ほたるに厄介な事件を起こされた、その前例が出来てしまった以上。

誰ももう、ほたるに煩わされたくなかった。ほたるのことなんて無視しておくに限る、と思っていたのだ。

従って、学校の大人達は、ほたるの味方ではなくなった。

クラスメイトからもいじめられ、先生達からも見離され。

あっという間に、学校に居場所がなくなってしまった。

何より、友達だと思っていたクラスメイトから攻撃されるようになったことが、ほたるには辛くて堪らなかった。

やっと友達が出来たと思っていたのに。自分も、誰かの友達になるに値する人間だと思えたのに。

クラスメイトが頼りにしていたのは、ほたる自身ではなく、ほたるの持つお金だけだった。

それだけの話だったのだ。

結局ほたるは最初から、誰にも好かれてなんかいなかった…。

…その事実が、何よりも鋭い無形のナイフとなって、ほたるの心に突き刺さった。