神に選ばれなかった者達 前編

だがほたるにとって、一番傷ついたのは、そのことではない。

両親に怒られるのも、先生達に怒られるのも怖かった。傷ついた。

精神的にも、肉体的にもだ。

でもそれ以上に傷ついたのは、他でもない、クラスメイトの態度だった。

こうなった以上、ほたるはクラスメイトのことを、「共犯者」だと思っていた。

ほたるがここまで罪を重ねてしまったのは、縋ってきた、せびってきたクラスメイトの責任も、少なからずあった。

皆で親に、学校の先生にも叱られたのだから、クラスメイトだってほたると同罪のはずだった。

皆で励まし合えると思っていた。確かに親からの信頼は失ったけども、クラスメイトとの…友達との絆は、切れていないはず。

仲良くなったクラスメイト達とは、ずっと友達のままだって。

そう信じていた。そのはずだった。

しかしほたるが登校すると、そこにいたクラスメイト達は、ほたるの友達ではなくなっていた。

彼らは、ほたるにお菓子やゲーム機を買ってもらったことを、親に酷く叱られ。

そして、叱られたのはほたるのせいだ、と、ほたるを責めてきたのだ。

ほたるにとっては、青天の霹靂。

物を奢ってあげていた時は、皆ほたるのことを、王様みたいに扱ってくれたのに。

「お前のせいで親に叱られたんだ」とか、「お前のせいでゲーム機全部取り上げられた」とか、「お前のせいでお小遣いが無しになった」とか。

ほたるの悪事に関わってしまったクラスメイト達は皆、怒られた責任をほたるに押し付けてきた。

あれほど優しかったはずのクラスメイトが。友達だと思っていたのに。

まさか、自分が責められる側になるとは思っていなかった。

裏切られた気分だった。どうして、って。

確かに元はと言えば、お金を盗んだほたるが悪い。

だけど、綺麗なお金じゃないことを分かっていながらも、ほたるにゲーム機や漫画をせびっていたのは、クラスメイト達なのだ。

そういう意味では同罪だったが、彼らは最早、仲間ではなかった。

クラスメイト達は、自分が叱られた責任と怒りを、全部ほたるに転嫁した。

ほたる一人を、スケープゴートにすることにしたのだ。

ここから、ほたるに対するクラスメイトからのいじめが始まったのである。