神に選ばれなかった者達 前編

…その日の夜のことだった。



長い一日がようやく終わり。

寝る前に、ベッドの上でふとスマホを確認した。

相変わらず、誰からも連絡が来ていない寂しいスマホだが。

「…これ…」

アプリケーション一覧の中に、また例の迷惑アプリが復活しているのを見つけた。

『処刑場』という名のアプリが。

朝、確かにアンインストールしたはずなのだが…。

…もしかして俺のスマホは、知らないうちにウイルスにでも感染しているのだろうか。

とりあえず、もう一度そのアプリを削除。

念の為に、スマホを再起動しておいた。

多分、これで大丈夫だろう。

俺はベッドの脇にスマホを置いて、部屋の電気を消した。

目を閉じてしばらくすると、睡魔が襲ってきた。

いつもと同じ。何の変哲もない、何の価値もない、でもかけがえのない日常が、今日も終わる。





…はずだったのに。




次に目を覚ました時、俺がいたのは自分の部屋の中ではなかった。