神に選ばれなかった者達 前編

祖父母の家から帰ってきた両親は、二人で話し合い。

そして、まずリビングに、ほたる以外の兄弟達を集めた。

まだ言葉の話せない、末の妹ちゃんだけは例外だったけど。

そこでパパとママは、ほたるがしたことを、兄弟達に話して聞かせた。

兄弟達はほたるの犯行を聞いて、びっくりしていた。

パパが激高しているのを見て、「どうやらあいつは、とんでもないことをしたらしい」とは予想していた。

でも、これほどとは思っていなかった。

兄弟達は誰一人、「親の金を盗む」なんて、考えたこともなかった。

そんなことをする発想がまったくなかった。

良い意味で、「良い子ちゃん」だった訳だ。

だからこそ、パパもママも、学校から連絡を受けるまで。

自分の家の金が盗まれているなんて、想像もしていなかったのだ。

それはそれで平和だよな。

ほたるの犯行を聞いて、兄弟達は驚くと同時に、心の底から酷く軽蔑したものだ。

常日頃ほたるのことを、兄弟の中で一番のポンコツだとは思っていたが。

まさか、そこまで馬鹿だとは思っていなかった。

そりゃパパがあれだけ怒るのも当然だ、と納得したものだった。

で、その上でパパは言った。

「お前達のことを信用している。だから、決してお前達は、あいつのようなことをしないでくれ」と。

「もうこんな情けない思いするのは懲り懲りだ」と。

他の兄弟達に、「ほたるのようにはならない」ことを約束させたのだ。

優秀な兄弟達は皆、素直に頷いた。

当たり前だよ。ほたるなんかと一緒にしないで…。…ってね。

それからパパは、ほたるについて、こうも言った。

「あいつはもう家族じゃないから、家族として扱う必要はない」と。

その言葉は嘘じゃなかった。単なる脅しでもなかった。

その時点でもう、パパはほたるの父親をやめていた。

ママもそうだ。ほたるのことを、自分の息子だとは思っていなかった。

ほたるは、ただの恥晒しだった。

恥晒しの金食い虫。それ以外の何者でもない。

実際、その通りだしな。

騒ぎが大事になったせいで、あっという間に学年中、近所中、そして学校中がこの事件を知ることとなった。

まったく無関係の児童でさえ、「まさかあんたも奢ってもらったんじゃないでしょうね」とか。

「あんたもお金を盗んでるんじゃないでしょあね」と、疑いの目を向けられたらしい。

とんだとばっちり。

でも、それだけの大事件だったのだ。今回の件は。

ほたるの家族にとっても、周囲の人々にとっても、ほたる自身にとっても。

そして、全ての犯行が白日の下に晒された、その日から。

ほたるの生活は、一変することになる。