神に選ばれなかった者達 前編

こんなめちゃくちゃな生活が、長くは続かないのは言うまでもないだろう。

実際、ほたるのこの世の春が続いたのは、3ヶ月程度だった。

最初の亀裂は、ほたるのクラスメイトがきっかけだった。

ほたるに媚を売って、最新の携帯ゲーム機を買ってもらった、そのクラスメイトは。

そのゲーム機を公園に置くのではなく、家に持って帰ってしまったのだ。

で、家でこっそりプレイしているところを、親に見つかった。

買い与えた覚えのない、最新のゲーム機で遊んでいる我が子を見つけ、現行犯逮捕。

「そのゲーム機はどうした。誰に買ってもらった?」と問い詰められ。

クラスメイトは、あっさりとほたるを売った。

「クラスメイトが買ってくれるって言うから、買ってもらっただけだ」って。

「だけ」って言うけど、全然「だけ」じゃない。充分有罪だよ。

ほたるは、自分の無限の資金源が何処から来ているのかを、クラスメイトに話していなかった。

まさか、親からパクったお金で買ってます、なんて言えるはずもない。

クラスメイト達だって、薄々分かっていたのだ。

自分達にゲームやコミックを買ってくれるこのお金が、まともなお金じゃないことを。

でも、無料で手に入るゲームやコミックに目が眩んで、敢えて気づかない振りをしていた。

あくまで、「ほたるのお小遣いから奢ってくれてる」と、そういうことにしていた。

だが、その言い訳が破綻する時がやって来た。

チューインガム一個ならまだしも、友達にゲーム機を買ってもらうなんて尋常じゃない。

そのクラスメイトの親は、我が子を問い詰め、やがてすべてが明らかになった。

当然、学校にも、そして芋づる式に、ほたるの家に連絡がされ。

すべての悪事が、明らかになった。

公園に隠されていた、いくつものゲーム機やゲームソフト、それにコミックや雑誌。

食べかけのお菓子や、カードなんかも全部見つかった。

担任の先生の耳にも、当然のように伝わって。

クラス中で、一度でもほたるに物を奢ってもらった児童、あるいはほたる銀行を利用した児童は、全員引っ立てられた。

で、その児童の親にも、それぞれ連絡が行き届き。

担任の先生どころか、学年主任や生徒指導教諭、また校長まで出てくる大事に発展した。

やっぱり、悪は滅びる運命なんだなって。

こうして、ほたるの春は呆気なく終了した。