神に選ばれなかった者達 前編

きっかけは、ある日の放課後のこと。

家に帰ったほたるは、ママに留守番を言いつけられた。

留守番くらいどうした、と思われるかもしれないが。

ほたるにとっては、留守番というのはとても珍しいことだった。

前述の通り、ほたるの家は大家族。

家の中に誰もいない、ということは滅多になかったのだ。

ママは専業主婦だったから、大抵家にいたし。

ママがいない時でも、お兄ちゃんかお姉ちゃんか弟か、兄弟が誰かしらいた。

でも、この日の放課後、ほたるは一人だった。

いつもの放課後だったら、ママと妹ちゃんが家にいるはずだった。

しかしこの日、妹ちゃんはお昼過ぎ頃から熱を出し、具合が悪かった。

しばらく様子を見ていたが、どうも熱が下がらず、心配になってきたので。

ママは夕方遅く、病院が閉まる前に、近くの小児科に連れて行くことにしたのだ。

いつもなら放課後になると、お兄ちゃんかお姉ちゃんのどちらかが、家に友達を連れてきたものだが。

今日はママが妹ちゃんを病院に連れて行くということで、お兄ちゃんもお姉ちゃんも、友達を家に呼ぶのではなく、友達の家に遊びに行った。

この日は珍しく、弟も、遅くまで帰ってこなかった。

というのも、クラスメイトのお友達の、誕生日パーティーに招待されたのだとか。

で、仕事で忙しいパパは、いつも夜遅くにならないと帰ってこない。

それで、ほたるはこの日、一人でお留守番しなくてはならなかった。

お留守番に慣れていないほたるは、留守番させられることに不満だった。

何だか、自分だけが取り残されているような気がして。

いや、実際自分だけが取り残されてるんだけど。

でも、そんなほたるの我儘は、いつも通りスルーされた。

「我儘言わないで。宿題でもしてなさい」と、ぴしゃりと言われ。

ママは妹ちゃんを連れ、病院に行ってしまった。

ママに抱っこされ、心配そうな顔で見つめてもらう妹ちゃんを、憎々しげに見送り。

ほたるは、しばし未練がましく、玄関先に佇んでいたが。

やがて諦めて、家の中に戻った。

…この時、無理矢理でも、ほたるを一緒に連れて行っていれば、すべての過ちは防げたのだろうか。