神に選ばれなかった者達 前編

ここから段々と、ほたるの転落人生(?)が始まっていく。

最初の頃の悪戯は、まだ可愛いものだった。

玩具を散らかす、わざと食べ物や飲み物をこぼす、などの、ちょっとした悪戯。

そういうことをすれば、躾として親に怒られるのは当然。

とはいえ、ほたるの目的は悪戯をすることではない。

悪戯をして、ママに構ってもらうことだった。

だから、悪戯をして叱られたら、それで満足してしまうというワケ。

怒られて喜ぶなんて、マゾかよ。って感じだが。

ともかく、悪戯をして構ってもらえたから、それで満足していたほたるだったが。

成長するにつれ、更に状況が変わっていった。

最初の頃は、叱られると言っても。

「そんなことしちゃ駄目でしょ。」「早く片付けなさい。」と、ぴしゃりと言われるだけだったが。

何度叱っても諭しても、同じことを繰り返すほたるに、さすがのママもイライラしてきたのか。

段々と、叱る時の言葉がキツくなっていった。

諭すと言うより、怒鳴って言うことを聞かせようとしてきた。

多分ママも、生まれたばかりの赤ん坊の世話に加えて。

お兄ちゃんになったというのに、精神的に成長するどころか、むしろ退化している我儘ほたるに、腹を立てていたんだろうね。

しかし、ほたるの目的は、あくまでママに構ってもらうこと。

怒鳴られても、果ては手をピシャッと叩かれても。

まったく反省することなく、更に悪戯を繰り返した。

そして、ついにママは諦めたのか。

あるいは、ほたるを構えば構うほど悪戯を繰り返すことに気づいたのか。

ママは、ほたるを叱るのをやめてしまった。

ほたるがいつもの悪戯をしていても、「はいはい、いつものね」とばかりに、無視するようになった。

ほたるにしてみれば、これは大ピンチである。

ママに構って欲しくて悪戯してるのに、構ってもらえないんじゃ意味がない。

何度も悪戯を繰り返したが、やっぱりママは無関心。

思えばこの頃のママは、我儘ほたるに、ほとほと愛想を尽かしていたんだと思う。

もう好きにして。って感じだったんだろうね。

兄弟達も同様で、ほたるの悪戯を目撃しても。

「あー、こいつまたやってるよ」とばかりに、白い目で見るだけだった。

誰も構ってくれなくて、大ピンチのほたる。

ここで反省して、今度からは悪戯をやめて良い子にします。

…って、言えるほたるだったら良かったんだけどなぁ。

可愛げってものがないんだ。あいつは、昔から。

少々の悪戯では構ってもらえないと理解したほたるは、更に悪戯のハードルを上げることにした。

これまでは、精々自分の玩具を散らかすくらいだったが。

今度は、兄弟の玩具を勝手に奪うということを始めた。