神に選ばれなかった者達 前編

じゃ、自分の親友の話に戻ろうか。

そいつは自分と同い年で、まぁ幼馴染っていう関係だな。

隣同士に生まれて、一緒に育った関係。

少女漫画だったら胸がときめくシチュエーションだが、残念ながら現実は、少女漫画のように甘くない。

大体、自分も、その親友も、男だからな。

男同士で胸がときめくシチュエーションは、自分はちょっと遠慮したい。

で、その親友ってのが、名前は「ほたる」って言うんだが。

ほたるは5人兄弟のド真ん中で、次男だった。

そんで、ちっちゃい時から甘えん坊だった。

ほたるのママが言ってたけど、ほたるは赤ん坊の頃から、ママに抱っこされなきゃ眠らないし。

ちょっと大きくなってからも、ママ、ママと母親の足元にまとわりつくマザコンっぷり。

人見知りが激しく、気難しく、そりゃもう手のかかる子供だったそうだ。

5人兄弟のうち、一番手のかかる子。それがほたるだった。

人一倍我儘な子だったけども、小さい時は、まだそれでも許されていた。

ほたるのママもパパも、ほたるの我儘っぷりに呆れてはいたものの。

小さい子供特有の我儘だと。成長すればそのうち収まるだろうと思って、長い目で見ていた。

ママとパパにとっては3人目の子供で、多少手慣れていることもあった。

ほたるが我儘を言っても、大抵のことは「はいはい」と受け流された。

まぁ、この時はまだ末っ子だったしね。

末っ子の我儘はご愛嬌、ってことで。

しかし、ある日、いきなり状況が一変する。

ほたるが生まれた二年後に、四人目の子となる男の子が誕生したのである。

つまり、ほたるの弟だな。

この弟が生まれてからというもの、ほたるの生活は一変。

これまで末っ子として我儘三昧だったほたるだが、弟が生まれたことによって、末っ子の座を弟に奪われてしまった。

僅か二年で終わった末っ子人生。無念。

ママとパパ、そして兄弟達の関心は、生まれたばかりの弟に移った。

我儘三昧のほたるの言うことなんて、だーれも聞いてくれなくなった。

これは大ピンチ。

これまでなまじ甘ったれだっただけに、突然親の愛情を弟に奪われたほたるは、それは焦った。

大抵の子供なら、ここで諦めて、成長と共に次第に落ち着いていくのだろうが。

何が悪かったのか、ほたるはそうはならなかった。

親の愛情を奪った弟を、敵として認識するようになってしまったのだ。

所謂、赤ちゃん返りだな。

赤ちゃん返りの、ちょい酷いバージョン。

ついにほたるは、悪戯をすることで親の関心を引く、という行為を覚えてしまったのである。