僕はのぞみの背中を撫でながら、優しい言葉をかけて慰めてあげた。
「大丈夫だよ、のぞみ。お兄ちゃんが守ってあげるから。お兄ちゃんがのぞみの傍にいるから。だから、何があったのか話してごらん」
「…ふぇ…」
「ほら、もう泣かないで。一体どうしたの?誰がのぞみを泣かせたの?言ってごらん。そんな悪い奴は、お兄ちゃんが懲らしめてあげる」
僕は本気だった。
のぞみを泣かせるような奴は、問答無用で首を絞めるつもりだった。
これまでだって、ずっとそうしてきた。
のぞみを守る為だったら、何だってどうってことない。
…しかし。
「さぁ、お兄ちゃんに話して。何で泣いてるの?何があったの?」
「…お兄ちゃん…信じてくれる?」
え?
「私の言うこと、信じてくれる…?」
「…勿論だよ。のぞみの言うことは、何でも信じるよ」
のぞみが言うことなら、例え「UFOを見た」とか、「幽霊に遭遇した」と言い出しても信じる。
誰が何と言っても信じる。
「だから、お兄ちゃんに話してみて」
「…あのね、私…昨日から…」
そうしてのぞみは、僕に話してくれた。
その内容は、とても信じられないようなものだった。
なんと、のぞみは夜中中、バケモノと戦っているのだという。
夢の中で、謎の施設みたいなところにいて。
ここは何処だろうと周囲をきょろきょろしていると、そこに、人の顔をした犬が出てくるのだとか。
人の顔をした犬…。…人面犬…?
僕は見たことがないから、想像するしかない。
そもそも、犬でさえスラム街にはあまりいない。
意外に思うだろうか。
犬は、スラム街ではご馳走だからね。
そしてのぞみは、夢の中でその人面犬に食べられ、何度も殺されているというのだ。
今現在、夢の中で僕達が戦っているのは、ゾンビだが。
もう何年も前、夢の中で最初にのぞみが邂逅したのは、ゾンビではなく人面犬だったのである。
今でこそ容易に信じられるが、当時の僕は、驚きを隠せなかった。
人面犬なんて、見たこともなければ聞いたこともない。
犬の首から上に人間の顔が貼り付いている姿を想像して、その異様さにぞっとした。
想像しただけでもこんなに気持ち悪いのに、実際に夢の中で遭遇したのぞみは、どんなにか怖かっただろう。
それにしても、夢の中で人面犬に襲われるなんて…。にわかには信じ難い。
「物凄く痛いの…。何匹もの犬が…私を餌みたいに食べて…」
「…」
「身体から力が抜けて…やっと終わったと思ったら、また同じ場所に戻って…。それからまた、犬に追い立てられて…また食べられて…それを繰り返して…」
「…のぞみ…」
「凄く痛くて、辛いの。一昨日も、昨日の夜も…。こんなこと誰にも言えない。信じてもらえないよ」
そう言って、のぞみはぽろぽろと泣いた。
「…お兄ちゃんは信じてくれる?私が本当のこと言ってるって」
「あぁ、勿論だよ」
実を言うと、のぞみが何を言っているのか、この時の僕には半分も分かっていなかった。
だけど僕は、のぞみを信じていた。
のぞみは本当のことを言ってるって。
何がなんだか分からないけど、僕がのぞみを信じている。それだけは確かだった。
「大丈夫だよ、のぞみ。お兄ちゃんが守ってあげるから。お兄ちゃんがのぞみの傍にいるから。だから、何があったのか話してごらん」
「…ふぇ…」
「ほら、もう泣かないで。一体どうしたの?誰がのぞみを泣かせたの?言ってごらん。そんな悪い奴は、お兄ちゃんが懲らしめてあげる」
僕は本気だった。
のぞみを泣かせるような奴は、問答無用で首を絞めるつもりだった。
これまでだって、ずっとそうしてきた。
のぞみを守る為だったら、何だってどうってことない。
…しかし。
「さぁ、お兄ちゃんに話して。何で泣いてるの?何があったの?」
「…お兄ちゃん…信じてくれる?」
え?
「私の言うこと、信じてくれる…?」
「…勿論だよ。のぞみの言うことは、何でも信じるよ」
のぞみが言うことなら、例え「UFOを見た」とか、「幽霊に遭遇した」と言い出しても信じる。
誰が何と言っても信じる。
「だから、お兄ちゃんに話してみて」
「…あのね、私…昨日から…」
そうしてのぞみは、僕に話してくれた。
その内容は、とても信じられないようなものだった。
なんと、のぞみは夜中中、バケモノと戦っているのだという。
夢の中で、謎の施設みたいなところにいて。
ここは何処だろうと周囲をきょろきょろしていると、そこに、人の顔をした犬が出てくるのだとか。
人の顔をした犬…。…人面犬…?
僕は見たことがないから、想像するしかない。
そもそも、犬でさえスラム街にはあまりいない。
意外に思うだろうか。
犬は、スラム街ではご馳走だからね。
そしてのぞみは、夢の中でその人面犬に食べられ、何度も殺されているというのだ。
今現在、夢の中で僕達が戦っているのは、ゾンビだが。
もう何年も前、夢の中で最初にのぞみが邂逅したのは、ゾンビではなく人面犬だったのである。
今でこそ容易に信じられるが、当時の僕は、驚きを隠せなかった。
人面犬なんて、見たこともなければ聞いたこともない。
犬の首から上に人間の顔が貼り付いている姿を想像して、その異様さにぞっとした。
想像しただけでもこんなに気持ち悪いのに、実際に夢の中で遭遇したのぞみは、どんなにか怖かっただろう。
それにしても、夢の中で人面犬に襲われるなんて…。にわかには信じ難い。
「物凄く痛いの…。何匹もの犬が…私を餌みたいに食べて…」
「…」
「身体から力が抜けて…やっと終わったと思ったら、また同じ場所に戻って…。それからまた、犬に追い立てられて…また食べられて…それを繰り返して…」
「…のぞみ…」
「凄く痛くて、辛いの。一昨日も、昨日の夜も…。こんなこと誰にも言えない。信じてもらえないよ」
そう言って、のぞみはぽろぽろと泣いた。
「…お兄ちゃんは信じてくれる?私が本当のこと言ってるって」
「あぁ、勿論だよ」
実を言うと、のぞみが何を言っているのか、この時の僕には半分も分かっていなかった。
だけど僕は、のぞみを信じていた。
のぞみは本当のことを言ってるって。
何がなんだか分からないけど、僕がのぞみを信じている。それだけは確かだった。


