神に選ばれなかった者達 前編

しかし、これで一件落着…とは、行かなかった。

体育の授業を終えて、教室に戻ってきた雨野リリカや、クラスメイト達は。

俺の机が復活しているのを見て、また噴き出して笑っていた。

彼らは、俺が何をしていても面白くて仕方ないらしい。

それどころか、絡んできた。

「ねぇ、なんかゴミ臭いんだけど?」

「ゴミ捨て場みたいな匂いするw」

そりゃ、さっきまでゴミステーションにあったからな。

ということは、やっぱり捨てに行ったのは雨野リリカなのか。

俺に嫌がらせする為に、机と椅子を抱えて、えっちらおっちらゴミステーションまで運んだのかと思うと。

その姿を想像すると、かなり滑稽である。

うっかり笑いそうになってしまったのだが、何とか堪える。

「…は?何笑ってんの?キモいんだけど」

「…それは済まない」

「臭いしキモいんだよ、あんた。自分が邪魔なの分からない?教室から出ていって欲しいよ」

とのこと。

成程、それで机と椅子を捨ててきたのか。…納得。

俺に教室から出ていって欲しいという願いを込めて…。

…そういうことなら、申し訳ない。

出ていってあげられるものなら、そうしたいのだが。

残念ながら、それは出来ない。

返事に窮していると、雨野リリカは。

「…ちっ」

渾身の舌打ちをくれてから、ガン、と俺の机を蹴っ飛ばした。

盛大な音を立てて、床に倒れる机。

それを見て、クラスメイトは大笑いだった。

机が倒れただけで、何がそんなに面白いのか。

俺は、倒された机をそっと元に戻した。

倒されたなら、戻せば良いだけ。

それだけの話だ。