だから、私は今日もお兄ちゃんと一緒に、今日の「戦果」を喜ぶ。
「良かったね、お兄ちゃん。今日は大儲けだ」
「本当だよ。最近は、以前より儲けが多くなって有り難い」
へぇ?
「お兄ちゃんの占いが当たるって、評判になってきたのかな?」
「まさか。お兄ちゃんの占いの技術は、昔も今も皆無だよ」
…まぁ、そうだよね。
お兄ちゃんの商売道具の水晶玉だって。
ピカピカに磨いてはいるけど、それ、実はただのガラス玉だし。
当然、何かが映るはずもなく。
いつだってお兄ちゃんは、何も見えない水晶玉を真剣な顔で凝視しながら、ありもしない作り話をしているだけ。
それでも、お兄ちゃんの真に迫った演技のお陰か、騙される人が多数。
「単純に、商売仇がいなくなったのが要因だろうね」
「え、どういうこと?」
商売仇って?
「ちょっと前まで、当たるって評判の占い師が近くにいたんだ。女性だったんだけど…彼女はお兄ちゃんみたいな詐欺師じゃなくて、本当に『見える』人だったらしい」
「本当?そういう演技をしてたんじゃなくて?」
「さぁ…。あくまで噂だし、お兄ちゃんは会ったことないから、知らないけど…」
この路地裏で商売をしている人の中で、モグリじゃない者がいるのだろうか。
「その人、今は足を洗ったらしい」
「ふーん…。水商売でも始めたのかな?」
「噂によると、マフィアの準幹部と結婚したとか何とか…」
水商売どころか、結婚詐欺なんじゃないの?それ。
まぁ、他人のことなんてどうでも良いよね。
「まぁ、そんなことは良いや。今日は儲かったし、今晩の夕飯は奮発して、のぞみの好きなちくわカレーでも作ろうか?」
わぁい。嬉しい。
でも、今日はお兄ちゃんがご飯を作る必要はないんだよ。
「あのね、お兄ちゃん。今日はね…」
私は、昼間、友達に購買部でパンを奢ってもらったことを話した。
「本当に?それは良かったね、のぞみ」
「うん」
宿題を見せるだけで、こんな素敵な役得に預かれるなんて。
やっぱり、宿題は普段からちゃんとやっておくべきだね。
しかし。
「それじゃ、そのパンはのぞみが食べると良いよ。お兄ちゃんは昨日の残り物を…」
「ちょっと。それじゃあ駄目だよ」
「え?」
え?じゃないよ。
何の為に、欲張って三つも奢ってもらったと思ってるの。
一人で頬張る為じゃないよ。
「お兄ちゃんも一緒に食べよう」
「お兄ちゃんは別に良いよ。のぞみのものなんだから、のぞみが一人で…」
「だめ。お兄ちゃんも一緒に食べるんじゃなきゃ、私も食べないからね」
「…強引だなぁ…」
好きに言って頂戴。
こればっかりは、絶対に譲らないからね。
食べ物は何でも、分け合って一緒に食べる。
物心がついた頃から、私はそう決めているのだ。
「良かったね、お兄ちゃん。今日は大儲けだ」
「本当だよ。最近は、以前より儲けが多くなって有り難い」
へぇ?
「お兄ちゃんの占いが当たるって、評判になってきたのかな?」
「まさか。お兄ちゃんの占いの技術は、昔も今も皆無だよ」
…まぁ、そうだよね。
お兄ちゃんの商売道具の水晶玉だって。
ピカピカに磨いてはいるけど、それ、実はただのガラス玉だし。
当然、何かが映るはずもなく。
いつだってお兄ちゃんは、何も見えない水晶玉を真剣な顔で凝視しながら、ありもしない作り話をしているだけ。
それでも、お兄ちゃんの真に迫った演技のお陰か、騙される人が多数。
「単純に、商売仇がいなくなったのが要因だろうね」
「え、どういうこと?」
商売仇って?
「ちょっと前まで、当たるって評判の占い師が近くにいたんだ。女性だったんだけど…彼女はお兄ちゃんみたいな詐欺師じゃなくて、本当に『見える』人だったらしい」
「本当?そういう演技をしてたんじゃなくて?」
「さぁ…。あくまで噂だし、お兄ちゃんは会ったことないから、知らないけど…」
この路地裏で商売をしている人の中で、モグリじゃない者がいるのだろうか。
「その人、今は足を洗ったらしい」
「ふーん…。水商売でも始めたのかな?」
「噂によると、マフィアの準幹部と結婚したとか何とか…」
水商売どころか、結婚詐欺なんじゃないの?それ。
まぁ、他人のことなんてどうでも良いよね。
「まぁ、そんなことは良いや。今日は儲かったし、今晩の夕飯は奮発して、のぞみの好きなちくわカレーでも作ろうか?」
わぁい。嬉しい。
でも、今日はお兄ちゃんがご飯を作る必要はないんだよ。
「あのね、お兄ちゃん。今日はね…」
私は、昼間、友達に購買部でパンを奢ってもらったことを話した。
「本当に?それは良かったね、のぞみ」
「うん」
宿題を見せるだけで、こんな素敵な役得に預かれるなんて。
やっぱり、宿題は普段からちゃんとやっておくべきだね。
しかし。
「それじゃ、そのパンはのぞみが食べると良いよ。お兄ちゃんは昨日の残り物を…」
「ちょっと。それじゃあ駄目だよ」
「え?」
え?じゃないよ。
何の為に、欲張って三つも奢ってもらったと思ってるの。
一人で頬張る為じゃないよ。
「お兄ちゃんも一緒に食べよう」
「お兄ちゃんは別に良いよ。のぞみのものなんだから、のぞみが一人で…」
「だめ。お兄ちゃんも一緒に食べるんじゃなきゃ、私も食べないからね」
「…強引だなぁ…」
好きに言って頂戴。
こればっかりは、絶対に譲らないからね。
食べ物は何でも、分け合って一緒に食べる。
物心がついた頃から、私はそう決めているのだ。


