今日は我慢しない。

「勝手言ってるってわかってる。 けど、ごめん。 断らないで……」


 原田くんは顔を上げずに手を私に差し出したまま言う。


「俺のことなんか眼中にないのわかってる。 でも、好きなんだ。 こんなに誰かを好きになったの初めてなんだ。 今まで誰かのために頑張ろうとか思ったことなかった。 優勝できなかったけど、こんなに必死になったの俺、生まれてはじめてで……この気持ちをこのまま終わらせたくない……っ」


 ようやく顔を上げた原田くんの目尻に、光るものが見えた。


「好きになって欲しいとかそんなおこがましいことは言わない。 一回だけでいい。 一緒に花火を見れるだけで俺、一生の思い出になるんだ。 それ以上望まない。 だから、頼む。 俺と花火大会に行ってほしい」


 そう言って原田くんはもう一度頭を下げた。


「……」


 だめだよ、断らなきゃ。

 そう思うのに、健気すぎる気持ちに激しく心を揺さぶられた。

 こんなまっすぐに思いを伝えられたのは初めてだし、自分がいま恋をしているからこそ、こうして想いを伝えることはとても勇気のいることだってわかる。

 なんとか報いてあげたくなる。