礼をして微笑むと、方々から感嘆のため息が聞こえた。


「素敵……我が校の誇りだよ」
「てか今日も美しいわぁ。 髪ツヤツヤだし、顔整いすぎじゃない?」
「事務所にスカウトされまくるから繁華街歩けないらしいよ」
「てか今朝張り出されたテスト結果見た? また三条さん上位に入ってた」
「こないだのスポーツテストも円グラフほぼパーフェクトだったって」


 私は聞こえてないふりをして、ステージ後ろのパイプ椅子に姿勢を意識して腰かけた。


「――三条さんって、絶対αだよね」


 これが今の私の評価。

 心の中で小さくガッツポーズをする。



 ま、Ωなんだけどね。






「続いて、新生徒会長の佐柳(さりゅう)さん、お願いします」

「はい!」


 司会の紹介で立ち上がった男の子の明朗な声。

 一気に体育館の空気が変わる。


 光に透ける柔らかそうな短めの茶髪に、筋の通った鼻と大きめの口。

 くっきり二重の形のいい目には、茶色がかった向日葵みたいな色の澄んだ瞳がおさまっている。

 その瞳が、彼の明るい性格も表しているみたいだ。


 ザ・爽やか犬系イケメン、佐柳(さりゅう)誠太(せいた)

 私が入学以来ずっと目指していた生徒会長の座を、横からかっさらっていった男子。