声のした職員室の扉の方へ反射的に目を向ける。
『誠太』『α』って……
「あぁ、まぁそうですね。 特に頑張ってると思いますよ」
そこには、髪をまとめて高そうなジャケットを羽織り、入学式に保護者がするようなきっちりとした装いの女性が学年主任の先生と向かい合って話をしていた。
「今後とも誠太をよろしくお願いしますね。先生」
もしかして、佐柳のお母さん?
対応する先生は笑ってはいるけど、少し困ってるようにも見える。
今日は特別保護者が来るような日じゃないから、なにかよっぽどのことがあったのかな……
そう思って佐柳の方をちらりと見ると、ひどく落胆したような、失望したような佐柳の表情が目についた。
佐柳は、すぐさま先生たちの元へ行く。
「母さん……! 何してんだよ!」
先生と佐柳のお母さんは振り向いて、佐柳に気付いた。
「あら誠太。 なにって、ご挨拶に来ただけよ」
先生は佐柳によろしく、とでも言いたげなアイコンタクトしてから、解放されたとばかりに職員室へ逃げるように戻っていく。



