それから六年後の春。

 私は文字通り、強くなっていた。

 

「それでは続いて新副会長の三条(さんじょう)那由(なゆ)さん、お願いします」


 三条那由、高校二年生に進級して初めての生徒総会。

 体育館に響いた私の名前に、全校生徒が静かにざわめきだす。

 ステージ下の控え椅子に座っていた私は「はい」と大きく返事をして、背筋を伸ばして立ち上がる。

 壇上に上がるまでの道すがら、私を見て呆ける男子が視界に入ったけど、気付かないふりをした。

 演台の前で礼をすると、マイクに向かって声を放つ。


「この度、新しく副会長に就任しました二年C組、三条那由です。今日までたくさん応援いただきありがとうございました。皆さんからもらったこのご恩を返すため、よりよい制度を生徒会メンバーと協力して作っていきたいと思っています。精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願いします」


 スラスラと、でもみんなに届くように明るい声で言って締めくくると、皆がキラキラした目で拍手を送ってくれる。