今日は我慢しない。

 自分じゃないみたいな甘い声が出ちゃって、恥ずかしくて仕方ないのに、どうすることもできずに佐柳にすがる。

 いつしか、感じたことのない快感が濁流のように押し寄せた。


「ん、んん~……っ!」


 目の前がチカチカして、頭が真っ白になった。

 あまりの快感に体がぶる、と震える。

 佐柳がそっと手を離した。

 それから徐々に体の熱が引いていくのが分かる。


「は……はぁ、はぁ、……?」


 なにが起こったのか分からず呆然とする。

 そんな私に、佐柳が心の底からホッとしたような顔を寄越す。


「よくできました」


 その優しい笑顔に、胸がぎゅう、と締め付けられた。

 次第に、頭を埋め尽くしていた気が狂いそうな劣情はなくなっていって、行くところまで行った熱だけがほんのり体に残る。