今日は我慢しない。

「っ……、」


 ゆっくりと唇にやわらかい唇が触れた。

 ドクン、ドクン、ドクン。

 熱が上がっていく。


 しばらくして静かに唇を離した佐柳がうかがうように私を見る。


「嫌……?」


 私は首を小さく横に振った。

 嫌じゃない。

 心臓はドキドキと早鐘を打っていたけど、怖さからくるドキドキじゃない。

 むしろ佐柳の優しさが伝わってきて、安心するぐらいだった。


「……嫌だったら言って」


 そう言った佐柳の瞳が、反射してまた金色に光って見えた。

 やっぱりもう怖くない。

 それどころかその瞳にこもった熱がやたら色っぽく見えて、また体が熱を上げる。