お母さんが死んじゃって、田舎のおばあちゃん家に引っ越して間もなく、私は毎日歯を食いしばって生きていた。
「お前の母ちゃんΩだったんだろ!? やーらし~!」
「やっ、やらしくないもん!」
昼休みが始まるチャイムが鳴ってすぐ、教室の後ろで私のランドセルをパスし合うクラスの男子たちは、返してよ!と怒る私を見て嬉しそうに笑った。
「近所のばあちゃんが言ってたぜ? α誘惑してむりやり番になったあげく捨てられたって!」
男子たちは「や~らし~!」と口をそろえた。
「っ……、」
一瞬言葉に詰まったのは、半分当たってたからだった。



