今日は我慢しない。

「私、黒帯なんだから……っ」


 私は佐柳を押して、ドアノブに手をかけた。

 すると、すかさず佐柳にガチャンッと鍵を閉められた。

 何するのって怒ろうとした時、



「じゃあ俺が襲う」



 感じたことないほどのαのフェロモンに阻まれた。

 ゾワッと全身が粟立った次の瞬間、私は佐柳に組み敷かれていた。



「……え……?」



 ……油断してたんだ。

 佐柳は平和主義だと思ってたから。

 いつも陽気で、賢くて温厚で、みんなと仲良し。

 私がどんなに冷たくしたって、土足で心に踏み込んでくるようなことはしない、絶対平和な人。

 いくらαでも、どんな場面でもそれは変わらないと、高を括ってたんだ。