生徒会室につくと、時刻は17時半をまわっていた。

 あ、電気ついてる。 まだ誰か残ってるんだ。

 ノックをしてからドアを開けると、真正面、一番奥の席で仕事をする人影がひとつ。


「ん。おつかれー」


 佐柳(さりゅう)だ。

 今日も優しい笑顔の佐柳から滲み出るαの圧に、ほんの少し体が強張った。

 それに気付かないふりして、笑顔を作る。


「お疲れ。佐柳だけ?」

「うん。みんな仕事終わって帰ったよ」


 佐柳の手元には今度設置する意見箱と、週末に訪問予定の他校に持っていく資料、それから今度提案する予定の企画書もある。

 全部今日やったの? そしてもう終わるの? はや!

 αが色々と器用なのは知ってたけど、ここまで凄いんだ……。

 気にしたら負けだと、私は佐柳から目を逸らして自分の席に座る。