今日は我慢しない。


 百数年前に見つかった〝第二の性〟

 α、β、Ω。

 その中でもΩは、稀少な性別だ。

 発情期になると性的興奮状態に陥り、異性を誘惑するフェロモンを放つ。

 そのフェロモンは特にαに有効で、結ばれたαとΩの間に出来た子供は〝優秀なα〟になりやすいと言われている。

 総理大臣、超有名な大企業の社長、世界的スポーツ選手などなど。

 みんな優秀なαだ。

 それはつまり、どれだけ強いαがいるかが、その国の価値を決めるということ。

 
『優秀なαを産める貴重な存在だから』

 
 それこそが、国がΩを保護したい理由。

 そしてこの学校は密かにそんなΩを優遇する制度で国のごきげんを取っているっていうわけ。

 ……くだらない。

 私は荷物を肩に持ち直して歩き出した。

 αとかΩとか、どうでもいい。

 私はただひたすら努力して、勝ちにいくだけ。

 性別を超えて、私は私の素晴らしい人生を切り拓くんだ。