今日は我慢しない。


 それからしばらく、私たちは抱き合ったままでいた。

 体を包み込むぬくもりが愛おしくて仕方ない。

 そう思えば思うほどあっという間に時間は過ぎて、そろそろ帰らないといけない時間になる。



「……」



 時間が迫ってることに気づいても声をかけられない。



「……三条」



 佐柳はそろそろ時間だからって言いたいんだろう。


 ……そうだよ。お母さんにあんな啖呵を切ったんだから。

 破るわけにいかない。



「……うん」



 名残惜しくも離れようとした瞬間、再び佐柳にグッと抱き寄せられた。



「!」

「三条」



 そして、私のうなじに指を添わせた。

 ゾクッとして、体がわずかに震える。
 


「ここ、噛んでいい?」

「え?」



 『ここ』って……