今日は我慢しない。

「っ……、」


 は、ずかし……っ

 こんなまじまじ見られるの、ムリ……!

 顔が沸騰しそうになって、たまらずうつむいた。




「……――綺麗」


 

 そう呟いた佐柳の声がなぜか震えてて、思わず顔を上げる。



「可愛い」



 ……なんて顔してるの、佐柳。


 今にも泣きそうな顔の佐柳は、慈しむようにそっと私のほほに手を添えた。



「めちゃくちゃ似合ってる」



 佐柳の手が優しくて。

 佐柳の暖かな気持ちが伝わってくる。

 途端に、花火大会の日のホームでの景色が蘇る。

 暑い日差し、背中をたどる汗、ホームを行く祭り客達の賑わいと蝉たちの合唱。

 全部が煩わしかった。



 今、ようやく佐柳が来てくれた気がした。