今日は我慢しない。

「予選は駄目だけど、一カ月後の決勝には間に合うの!」

「う、うん」

「生徒会が忙しいのは知ってる!陸部もあるのも!でもお願い!予選、勝ちあがって!」


 山門さんの圧に、う、と後ずさる。

 正直、厳しいと思う。

 山門さん以外の団体戦メンバーは一生懸命頑張ってはいるけどそんなに強いメンバーじゃないし、私は本格的にやってたの3年前とかでブランクあるしってか陸部だし。

 それに来月の学校行事のため副会長としてやることがたくさんあり、練習はほとんど参加できない。

 ……けど、山門さんのウルウルの目からこの大会にかける熱い思いを感じて、私は山門さんの両手をガシッと握り返した。

 
「任せて。予選、絶対勝つよ!」


 朝と夜、寝る時間少し削れば練習できるはず!


「三条さん……!」


 そのまま山門さんと熱い抱擁を交わしていると、壁掛け時計が目に入ってハッとする。


「ごめん、そろそろ行かなきゃ!」


 名残惜しそうな山門さんに別れを告げて急いで更衣室に向かう。

 部室棟の女子部屋で着替えていると、廊下から男子たちの話し声が聞こえた。


「この学校、Ω優遇制度あるってマジ?」