今日は我慢しない。


 そのまましばらく歩くと、公園の近くに差し掛かった。

 もう佐柳の家は遠く見えない。

 完全に日が落ちて街頭のみとなった暗い公園には人気がなく、えらく静かだ。


 ……うわ、どうしよう。

 なんか急に佐柳と手繋いでるの意識してきちゃって、ドキドキして来た。



「…………クハッ」


 そこで佐柳が笑いだした。


「あはっ、あははは……!」


 めっちゃ笑う。

 苦しそうなぐらい笑う。


「やばい、止まんない、あはは! 三条、健全彼氏? 21時って早えーし」


 そう言ってさらに笑う。

 ……そんな面白い?

 てか彼女じゃなくて彼氏?

 そう思いつつ。


「……フフッ」


 佐柳の笑顔が可愛くて、だんだんつられる。

 ひとしきり笑い続けたあと一息つくと佐柳は、それまで握手のようにつないでいた手を恋人繋ぎに変えた。


「!」

「――好きだよ」


 憑き物が取れたような晴れやかな顔で言う佐柳は、青春映画のヒーローみたいで。

 こんな景色も私に言ってくれてるってことも、全部現実じゃないみたいだ。