今日は我慢しない。

「ていうか嘘ですよね?」

「……は?」

「私に会いたくないって言ってるって、嘘ですよね」

「嘘じゃないわよ。どうしてそう思うの?」

「誠太さん私にゾッコンなので」



 三条が何を言ってるのかわからなくて、思考停止した。



「……クハッ」


 そして思わず吹き出した。


 ゾッコンて。

 すげぇ。どんだけ自信あんの?

 俺、三条に好きだとか一度も言ってないのに。

 

「なっ、何を言ってるのよ! そんなわけないでしょう! 勘違いも甚だしい!」

「いいえ! あなたの息子さんは私のことめちゃくちゃ好きで好きで大好きで今も私に会いたくて仕方なくなってると思います!」


 三条はわざとらしく声を大きくして、対峙してる母さんにじゃなく、


「そうだよね!? 佐柳!!」


 俺に言う。


「いつまでそんなところに閉じこもってるの! 出てきてよ! ついでに言っとくけど私まだ花火大会ドタキャンされたこと許してないからね!」


 三条の声はそこらへんの家中に響き渡っている。


「ちょっと、いい加減にしなさい! 学校に言いつけるわよ!」

「どうぞ!!」

「!? あなた、最悪退学になるわよ!?」

「……! そうやって佐柳を脅したんですか……!?」


 核心をついた三条に、母さんが言葉を詰まらせる。


「佐柳!」


 呼ばれて、恐る恐るカーテンを開けてみれば門から少し離れこちらを見上げる三条と目が合った。

 情けない顔をする俺を見て、三条が泣きそうな、でもほっとしたような顔をする。