リビングの扉を開けると、ダイニングテーブルでいつもの席に腰掛ける母さんがこちらを見てにこりと笑った。


「誠太、ちょうどよかった。 お茶しましょう。 いつも良くしてくださってる篠塚さんからおいしい焼き菓子を頂いたのよ」


 母さんは言いながら立ち上がってキッチンに向かう。

 俺が今日三条と花火大会に行くことは、母さんには言ってない。

 絶対に反対されることは分かってるし、母さんはあらゆる手を使って三条と近づくことを阻止しに来るだろう。

 だから三条とのことは、慎重にいきたい。


「いらない。すぐ出るから」

「あぁ、花火大会なら駄目よ」

「え?」

「あなた今日、あの副会長Ωと花火大会に行くんでしょう?」



 ……なんでそれ、知ってんの?