今日は我慢しない。

 ちょっと派手だった? 今っぽくない?

 イマイチって思われたらどうしよう。

 ……ううん、佐柳はどんな格好の私でも受け入れてくれる気がする。

 逃走中イベントの日のことを改めて思い出してみたら、何となくわかったから。

 佐柳が私と同じ気持ちだってこと。



 時刻は16時。

 待ち合わせまでまだ30分ある。

 早く着きすぎちゃった。

 改札の外に出てもやることがないので、私は一旦あいてるベンチに腰掛けて時間が来るのを待つことにした。

 あぁ、ソワソワする。

 いつもと違う格好、いつもと違う場所で、佐柳に会う。

 それがこんなに胸をドキドキさせるものだったなんて。

 不安なのに、楽しみで仕方ない。

 佐柳はいつ来るかな。

 もうすぐ来るかな。

 【駅ついたよ】とメッセージを送ってみる。

 あぁ、早く会いたいなぁ。



 ――ヴヴ、ヴヴ、ヴヴ……


 スマホが振動して着信を知らせた。


 佐柳からだ。