今日は我慢しない。



 油断してたんだ。

 佐柳(さりゅう)は平和主義だと思ってたから。

 いつも温厚な笑顔で、優しくて賢くて。

 私がどんなに冷たくしたって、土足で心に踏み込んでくるようなことは絶対しない、平和な人。

 いくらαでも、どんな場面でもそれは変わらないって、高を括ってたんだ。

 でも、いま私を力で組み敷いて見下ろしてる瞳は、全部を焼き尽くしちゃいそうな金色で。



「な……なにを、して……?」



 絶対的強者、誰も逆らうことができない。

 そういう、神様みたいな目をしている。



「わかんない? 襲ってんだよ」

 

 佐柳の冷ややかな声に本能が刺激されて、ゾクリと体が震えた。


 嫌だって思うのに

 私の体はバカみたいに喜んでいる。



 どうして

 どうしてこんなことになったんだろう。



「っ、……ぁ」



 乱暴なほどに甘い刺激を浴びながら、私は心の底から絶望した。


 どうして、

 どうして私は……――