「……麗琉に話があったから、サボった。」
「……っ。」
真剣で少し怖いと感じるような鋭い目つきをした青羽と目が合う。
シンッと凍りついた空気が体をジワジワと侵食し、張り詰めた空気に震えそうになった。
少し和らいだ空気も凍えるような冷たい冷気に覆われ、跡形もなく消えた。
「犯人、わかったんだって?」
「……あぁ。」
どこからその情報を得たのかは知らないけど、俺の家の近所の人になら捜査情報がたまたま漏れてもおかしくない。
……てことは学校でも広まっているってことか。
「そ。学校行ったら、みんなその話題ばっかでSHRが始まる前に抜け出してきたわけ。」
こいつ、サボったこと何一つ悪くないと思ってるし……。
「で?誰なわけ?」
「………。犯人は、神々亜久都(みわあくと)。
19歳、無職。凶器についていた指紋によって特定された。
今はまだ……いや、あいつは絶対に捕まらない。」
「……どうしてそれが言い切れる?」
……そんなの、1つしかあるわけがない。
殺される動機なんてある人、家族になんて居ないんだから。
「あいつが…根っからの犯罪者だから。……あいつは数年前、親父がガサ入れして一気に逮捕した裏カジノ関連の人間だった。
……そして、あの日、あいつは……出所したんだよ…っ!」
……親父の知り合いの刑事からこのことを聞いて…、全てがわかった。
これは…神々亜久都による逆恨みの復讐だ。
当時、あいつが捕まった事件の指揮をしていた親父に対して。
そして……全く無関係な母さんや、兄貴や麗愛まで殺した。
自分が犯罪を犯しているのに、自分を正当化して、その上関係ない人間を殺し、他人の人生を壊した。
……絶対許せない、許せるわけがない。



