キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。

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「よ、だいじょーぶ?」



「……青羽。…おま、え……。」


口からこぼれたのは掠れた声。


………まさか、来るなんて思わなかった。



家族が殺されて2週間。
俺は警察から提供されたアパートに引っ越して1人で住んでいた。





「うん、元気かなーって。様子見?」


「……っ。…はぁ、来てって頼んでないんだけど。てか、なんて家知ってんの?」

「さーね。」



インターホンの音にドアを開けるとそこにいたのは、柊青羽(ひいらぎあおば)。

幼稚園生の頃からずっと一緒にいる唯一の幼馴染で親友だ。



クラスでは明るいムードメーカー的位置を取っているが、本当は何にも興味を示さない無気力で思考が全く読めない人間。

青羽曰く、何も思い入れがないからこそ自分の性格と違うキャラができるんだと。



そのくせして洞察力はすごく高く、他人の変化によく気づく。
ほんと恐ろしい人間だと俺は思っている。



だから、あれから学校を辞めた俺は何もする気が起きなく、死んだような生活をしていることを見抜いた青羽は今ここに来たんだろう。