キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。




「ただいまー」



……ん?リビング……。



靴を脱ぎながら、リビングが真っ暗闇なことに強い違和感を覚えた。


……この時間いつも、兄貴も麗愛も寝てないし、リビングで騒いでるのに……というか、親父と母さんもリビングにいないっておかしいだろ……。






「………。ってか、くさ…。」




なんなんだ、この匂い……。

異様なくらい家が金属臭い。何なんだよ……この鉄みた__っ!!



自分で思いながらハッとする。




……まさか……な、わけない。



昔親父から聞かされたことがある。


俺が、大怪我して……鉄臭いと言ったとき…




『鉄の臭いがするのは血に鉄の成分が含まれているから』

だと。





血が流れてる……そんなわけない……。


そうやって頭で最悪な事態を不吉すぎると打ち消しながら恐る恐る、不穏な雰囲気を放つリビングへ足を進める。