キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。




3年前、9月9日22時すぎ。


この日、バスケ部に所属していた俺は数日前にあった大会の打ち上げで夜遅くまで出かけていた。

焼肉に行ったあと、二次会とか言って先輩にカラオケまで連れ回されてしまったのだ。



時間がやばいと焦りながらも、すごく楽しくて余韻に浸って、ふわふわと浮足立った状態になっていた。


このような幸せなとき、いつも絶対俺は考えてしまう。




……この楽しさは嵐が来る…いや、何か不吉なことが起こる前の最後の幸せじゃないのかって。


あまり手にしたことないような幸せさを素直に受け止められないというか……言葉にはよく表せないけど、胸騒ぎみたいなのを感じるのだ。






でもこのとき。



そんなこと感じる暇もないくらいにうれしくて、楽しかったのだ。

とにかく胸がいっぱいになるほど遊んだ。



……それが逆に俺にとっての不吉なことが起こる予兆だったのかもしれない。