キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。





「あ…、じゃあアイスコーヒーもらってもいいですか…?」


「ん、わかった。」


子供っぽいのにコーヒーは飲めるんだ。だなんて場違いなことを考えながら、グラスにアイスコーヒーを注ぐ。

ついでに自分のコーヒーも注いで、澄星の座っているソファーのところへ戻った。
 



「………。」

「………ふっ。」


すごく気まずそうにキョロキョロしている澄星にさっきから笑いが止まらない。


澄星に声を荒げられて、目が覚めたのか、それともおかしくなったのか。






「……どうしたの、麗琉くん。」


どうしたのと聞きながらも、若干拗ねたような表情をしているから自分でもわかっているのだろう。




「……いや、なんにもないよ。」


俺はそこで笑いを止め、何気なくアイスコーヒーに手を伸ばす。



口に含んだアイスコーヒーは体中に冷たさと一緒に苦さも回る。

まるで毒が体のすみずみまで回るのを体験しているよう。



でも、その苦さの衝撃が逆に俺の緊張をほぐしてくれるようだった。




「ふぅ……。」

「………。」