キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。

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「適当に座って待ってて、飲み物だけ入れてくる。」


「あ…っ、え…あ、うんっ!」


あれだけ俺に対して啖呵切ったくせして、今頃になって居心地悪そうにおどおどとしている澄星。

遠慮したようにソファの端の方にちょこんと座る姿を見て心の中には呆れが広がる。





……ハハッ、ほんと意味わかんない。




さっきの、目を逸らしたくなるほど真っ直ぐな澄星はどこいったんだか。


俺は吹き出しそうになりながら冷蔵庫に飲み物を取りに行く。





「えねぇ、澄星ー」


「うん?」

「アイスコーヒーと緑茶、どっちがいーい?」


質素な冷蔵庫を覗いた俺は澄星に問いかけた。



基本の食事をゼリーかエナジードリンク、またはコンビニ弁当で済ませる俺の家の冷蔵庫には面白いくらい物は入っていなく、飲み物もそれくらいしかない。

それも、500mlの緑茶と1lのアイスコーヒー紙パックが1本ずつしかないし。



本当に復讐以外何一つ考えてなかったことを思い知る。

澄星のおかげでやっと現実世界に戻ってこれたような感覚に陥った。




……まぁ、地に足をつけるほどまでには、戻るつもりなんてさらさらないけど。