「……はぁ。わかった、いいよ。今開ける。」
諦めたような了承の声が聞こえた後、インターホンの接続が切れた。
……はぁぁ、良かった。
これで第一関門は突破した。
私は覚悟を決めて扉が開くのを待った。
「おはよ、麗琉くん。」
「……はぁ。おはよ、澄星。お裾分けどーも。ここでもらうから帰っていーよ。」
……笑顔でこちらを見ているが、瞳の奥は真っ黒で凍えるほどに冷たい。
麗琉くんの態度から、私を拒否しているのが丸わかりだ。
「ねぇ、麗琉くん。犯罪者ってどういうこと?……あなたは何者なの?」
思わず、駆け引きも探りもなしに言葉が出てしまった。
これじゃあわざわざ嘘ついてまでおかずを持ってきた意味もない。
でも………
それでも、こんなにも突き放されるとなると、もう二度と話ができなくなる気がする、そんな焦りに襲われてしまったから。
出てしまったものは仕方がない、私は諦めて麗琉くんの瞳の奥をじっと見つめた。



