キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。





「違うよ!違うの、お裾分けだよ、いつもの。」



……まぁ、半分違うけど。
お裾分けと言う名で麗琉くん家に来て、話を聞こうとしているのだ。




私は、本当に毎週土曜日、作ったおかずを麗琉くん家にお裾分けに来ていた。

持ってくる時間帯はバラバラで場合によっては一緒に食事をすることもしばしばあった。




 

「……っ!はぁ…、あんな後にまで。」



驚くように息を呑む音と明らかに嫌そうな声がインターホン越しに聞こえる。


だめかな………。

でも、お願い!麗琉くん開けて……、あなたと話がしたいよ。






「ねぇお願い開けて、麗琉くん。今日は麗琉くんが好きな肉じゃが作ってきたんだ。」


そんな願いと、私の言葉が後押ししたのか、しばらく沈黙が続いたあと大きなため息が聞こえた。